岐阜地方裁判所 昭和43年(わ)42号 判決 1969年6月06日
本籍
岐阜県揖斐郡揖斐川町三輪三四九番地の三
住居
大垣市静里町三二九番地の三
会社役員
林高雄
明治四一年九月一六日生
被告事件名
所得税法違反
出席検察官
検事 山岸赴夫
主文
被告人を懲役一〇月及び罰金一〇〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは金二万五〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
訴訟費用は全部被告人の負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、大垣市静里町三二九番地の三の住居において、絵画や工芸品及び庭石の販売を営んでいるものであるが、右の営業等から生じる所得に対する所得税を免れようと企て、右絵画や工芸品等の売上の一部を除外し、その除外金を架空名義の定期預金にしたり、或は購入した土地の公表代金と真実代金との差額の支払に充てたりして所得の一部を秘匿する等の不正な方法により、
第一、昭和三九年度の総所得金額が一、〇九八万八、五五二円で、これに対する所得税額は四五四万二、九〇〇円であるのに、同四〇年三月一三日所轄大垣税務署長に対し、同年度の被告人の総所得金額が五七万九、一七一円にして、これに対する所得税額が三万四、三五〇円である旨虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて同年度の所得税のうち右の差額四五〇万八、五〇〇円を免れ、
第二、昭和四〇年度の総所得金額が三、一一三万八、九九二円で、これに対する所得税額は一、六二〇万四、四〇〇円であるのに、同四一年三月一四日前同署長に対し、同年度の被告人の総所得金額が七八万七、九〇三円にして、これに対する所得税額が六万三、四〇〇円である旨、虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて同年度の所得税のうち右の差額一、六一四万一、〇〇〇円を免れ、
第三、昭和四一年度の総所得金額が四、九五一万三、一一四円で、これに対する所得税額は二、八三六万二、二〇〇円であるのに、同四二年三月一四日前同署長に対し、同年度の被告人の総所得金額が四九四万二、七四〇円にして、これに対する所得税額が一五二万五、六一〇円である旨、虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて同年度の所得税のうち右の差額二、六八三万六、五〇〇円を免れ、
たものである。
(証拠の標目)
一、第一回公判調書の証拠関係カードの検察官請求証拠目録の証拠資料中、請求番号7乃至131518乃至95同カードの検察官請求証拠目録(証拠物)の証拠資料中請求番号1乃至31(昭和四三年押第二五号の一乃至三一)及び第三回公判調書の証拠関係カードの検察官請求証拠目録の証拠資料中請求番号1、2のとおりであるから、ここにこれを引用する。
一、被告人の当公判廷における供述
(法令の適用)
被告人の判示所為中、判示第一の所為は昭和四〇年法律三三号所得税法附則三五条により、同法による改正前の所得税法六九条一項に、同第二、第三の各所為は、所得税法二三八条一項に各該当するところ、いずれも懲役と罰金を併科することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条本文一〇条により、罰金刑については同法四八条二項により、それぞれ法定の加重をした刑期及び罰金額の範囲内で、被告人を懲役一〇月及び罰金一、〇〇〇万円に処し、右罰金を完納することができないときは、同法一八条により、金二万五、〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置し、情状懲役刑の執行を猶予するのを相当と認め、同法二五条一項により、この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予し、訴訟費用は、刑訴法一八一条一項本文を適用して、被告人の負担とすることとし、主文のとおり判決する。
(裁判官 塩見秀則)